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 松村太郎の「シリコンバレー深層リポート」Vol.5
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毎月2回お届けしている「シリコンバレー深層リポート」。第5回目の配信です。

日本では梅雨明け宣言と同時に、気候も気分も「夏」になりますが、私が過ごしているサンフランシスコ郊外の街、バークリーでは、昼は24℃、夜は12℃、という気候が5月頃からずっと続いており、気候から季節を感じることが難しい土地柄です。

夏だなーと思う要素としては、カリフォルニアで毎年、乾燥によって多発する山火事のニュースが増えること、そして気温が上がった午後の時間帯、太平洋から押し寄せてくる分厚い霧を見ると、「夏だな」と感じるまでに、こちらでの生活になじんできました。

食べ物についても、さほど大きく変わりません。日本だと、冷やし中華やスイカ、かき氷が夏らしい食べ物です。冷やし中華はとにかくとしても、スイカは4月からありますし、アイスクリームは年中人気があります。

それでは、今回の話題に入っていきましょう。


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Report: スマホで改札を通れる体験がサンフランシスコで実現するのは今年の9月以降?
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2016年9月に発表されたiPhone 7、iPhone 7 Plus、Apple Watch Series 2では、日本向けのモデルについて、FeliCaチップを搭載し、日本で普及している交通系電子マネー「Suica」をサポートしました。

筆者は普段米国で暮らしていますが、Apple Watchについてはわざわざ日本向けモデルを手に入れ、Suicaを設定しました。日本に出張で帰る機内で、普段米国では左手にしているApple Watchを右腕モードに切り替えて装着し、羽田空港に降り立ったら手首だけで京急線の改札を通って東京での1週間をスタートさせる、というのがおなじみのスタイルになりました。

スーツケースにカバンを持って、財布やスマホをポケットから取り出すことを考えれば、右手首だけで改札が通過できるSuicaの体験は極楽そのものです。カード型Suicaの場合は改札通過時に残高が改札機に表示されますが、ときどき表示が遅れて、前の人の情報しか表示されないまま改札を通り抜けることもあります。手首で残高がわかるのも、Apple Watch × Suicaのメリットと言えるでしょう。

手首だけの手軽さ、そしてスピード。これを経験してしまうと、サンフランシスコ国際空港に降り立って、「Clipperカード」というNFCベースの交通系カードを地下鉄BARTの改札にかざしたときの遅さといったら、「エラーが出てうまく認識されていないんじゃないか」と疑うほど。日本のSuicaとは、それぐらいの速度差があります。

■Apple Payは「便利」「快適」よりも「安心」
Appleは、iPhone 6からNFCを内蔵し、指紋認証のTouch IDを活用したモバイル決済サービス「Apple Pay」を米国から実現しました。その後、イギリス、オーストラリア、中国と対応地域を広げていき、ついに2016年10月からは、日本でもApple Payをスタートさせました。

米国でのApple Payスタートをリアルタイムで体験した私にとっては、プラスチックのクレジットカードを使わない決済方法への移行は、「快適」以上に「安心」という印象を受けました。

プラスチックのクレジットカードでは、オンライン、もしくは店頭でのスキミング被害に遭い、カードの再発行を余儀なくされることがしばしばあったからです。1年に1度はそういう被害に遭いますが、決して珍しいことではありません。

もちろん、カード会社は、おかしな決済を検出してカードを即座に止め、会員に連絡するというオペレーションが徹底しており、不正利用分については全額補償される仕組みになっています。ただ、カードが再発行されるまで使えなくなる、ケータイ料金などの支払いを再設定しなければならないなど、面倒臭さがつきまといます。

Apple Payは、カリフォルニア州サンフランシスコ郊外で過ごしていると、やっと最近になって「使える店が増えた」という実感が得られるようになってきました。その点も含めて、「便利さ」が重要ではなかった、と振り返ることができます。

■日本でのApple Payは、Suicaが必然だった
2016年10月に日本に導入される際、クレジットカードでのオンライン決済については、ほかの国と同じでしたが、店頭で利用するためには、iPhone 7、iPhone 7 Plus、Apple Watch Series 2を購入しなければなりませんでした。これらの日本向け製品にのみ、日本で普及している非接触ICチップ「FeliCa」が内蔵されていたからです。

現在の日本では、FeliCaをベースとした電子マネーが普及しており、クレジットカード決済についても、iDやQUICPayはFeliCaでの通信を行う仕組みです。そのため、日本以外で販売されるiPhoneに内蔵されているNFC type A/Bでは、店頭端末に対応することができなかったのです。

Appleは日本でApple Payをスタートさせる際の目玉として、交通系ICカードの最大勢力、Suicaをサポートしました。これは、Apple Payを普及させるうえで、避けられない必然だったと言えます。交通だけでなくコンビニなどの少額決済に利用するSuicaのサポートは、クレジットカード以上に重要だったというわけです。

ちなみに、iPhone 5sやiPhone 6、iPhone 6sを使っているユーザーでも、Apple Watch Series 2をペアリングすることで…

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